東京オリンピックが閉幕しました。当初は、開催是非を取りざたされていましたが、いざ始まってしまえば、私も各競技の熱戦にテレビの前から離れられなくなってしまいました。ある経営者の方と、一緒に観戦することをお約束していたのですが、観戦が叶わなくなってしまい、代わりに先日Webでお話をさせていただくことになったのです。その際に、「会社をよくするための取り組みとして、社内業務の可視化をしたところ、会社の改善ポイントを複数見つけることが出来ました。社内で話し合った結果、手間のかかる作業を効率化する意見が多かったのですが、ほかの改善ポイントを後回しとして本当にいいのか迷っているのです」と相談を受けました。

 会社の実態をまず可視化して、会社を変化させるポイントを見つけたことは、将来に向けて改革するための手順として正しいやり方です。改善すべきポイントがたくさんあるということは、会社がまだまだ成長できるとも言えます。改善ポイント全てに対応することができれば、きっと会社としての将来が明るいものとなるでしょう。

 しかし、取り組みには人の力も時間もお金もかかります。一度に全てに取り組むことなど出来ないことは明白です。

 では、会社を変化させるために、どのようなポイントの対策を行っていくべきなのでしょうか。

 一度に全て実施できないのであれば、優先度を決めて対策しなくてはならないことを選び出さなければなりません。複数見つかった改善ポイントのうち、何に対して対策するかは、きちんと評価して決めるべきことです。

 社員の方が便利になったと感じられることや、今よりも売り上げを増やす対策は大切な取り組みでしょう。これは是非取り組んでいくべき改善ポイントであることは、間違いありません。

 しかし、会社の方向性を決める経営者が最も重要視すべき評価軸は、目先の作業が便利になることや当面の売り上げを伸ばすことではありません。この先、会社の経営を阻害してしまう、リスクに対策することが最優先となるのです。

 なぜならば、社員の利便性を向上することや、売り上げを増やすために新たな商品開発をすることを優先しても、もし会社が無くなってしまえば対策する意味さえも、なくなってしまうからです。

 会社を変化させる最も大きな目的は、会社の未来に向けて成長させるための取り組みとすべきです。このためには、まず経営を妨げてしまう脅威、リスクに対して手を打たなければなりません。

 東京オリンピックでは、酷暑のためにアスリートの健康を優先して競技時間が変更された競技もありました。今後のオリンピック開催では、より一層、アスリートの健康を最優先とした取り組みをしなければ、アスリートが参加を辞退が増えて、大会の存続問題にまで発展してしまうでしょう。

 会社は、会社に関わる全ての人のために存在します。もし、会社の経営が行き詰ってしまえば、あなたの会社の社員だけでなく、取引先の社員の方にも影響が及んでしまうからです。だからこそ、会社の経営を妨げてしまうリスクを取り除くことが、最優先に取り組むべきなのです。

 これらの取り組みは不可欠な取り組みです。是非正しいやり方で、リスクに向き合ってください。会社に変化を加えることは、会社の未来を作り上げるためであり、如いては会社に関わる全ての人のためなのです。

 オリンピックに出場しているアスリートが、「またオリンピックに参加したい」、こう思えるのと同じように、あなたの会社の社員の方が、あなたの会社でともに働きたいと思われるような会社の舵取りをされることを期待します。

株式会社ライターム
コンサルティング事業部