今回は「中小企業のDX推進の現状と今後必要となる知識体系とは」をテーマとして2回に分けてコラムを配信させていただきます。
日本におけるDXは、2018年に「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」を経済産業省が取りまとめたことを契機に広がり始めます。 DXが広がり初めて約5年が経ち、今では生産性の向上や業務効率化、売上拡大、働き方改革への取組みなど、インターネット上のコンテンツやセミナー、書籍、広告媒体等、とにかくDXという文字を見ない日はないというくらいにDXが注目され、必要性が説かれている状況です。
一方でこのような状況下にあっても中小企業におけるDXの取組みが圧倒的に遅れていると言われています。その実態として昨年、中小企業基盤整備機構が「中小企業のDX推進に関する調査報告書」を公開していますが、その報告書によるとDXに取り組んでいる中小企業はわずか7.9%で全体の1割にも満たないという結果が出ています。
また、さらに深掘りして見ていくと、DXに取り組んでいる中小企業の取組内容も「ホームページの作成」、「営業活動・会議のオンライン化」、「顧客管理データの一元管理」などが上位となっており、DXの初期プロセスであるデジタイゼーション(アナログを単純にIT 化・デジタル化)を実施している状況で、本来のデジタルトランスフォーメーションのゴールである変革(※1)には程遠く、まさに途上といった状況が伺えます。
では、なぜ多くの中小企業がDXの取り組みができず、DXに取り組んでも大きな効果が得られない状況となるのでしょうか。報告書によるとDXへ取り組むに当たっての課題は以下のような内容でした。
・DX(IT) に関わる人材が足りない(56.0%)
・具体的な効果や成果が見えない(24.1%)
・予算の確保が難しい(22.9%)
・経営者の意識・理解が足りない(19.0%)
etc
この結果からDXが推進できないのは、DX(IT)に関わる人材が不足していることが大きな要因(足かせ)となっていると分析されているようですが、取り組み状況と合わせてみてもDXを正しく理解されていない方が多いのではないかと推察します。
そもそもDXは「Digital Transformation」(直訳:デジタル変換)ですが、経産省はじめ一般の定義は「変革」と定義されています。ITの知識だけで可能なのは変換であり、変革はITの知識だけでは実現できません。
では具体的にどのような知識体型が必要なのか?・・・
この続きは、次回コラムにてDX(IT)に関わる人材の必要な知識体系についてご説明させていただきます。
(※1)経済産業省のDX定義
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
株式会社ライターム
コンサルティング事業部