近年の社会情勢、顧客ニーズの多様化、ITによる技術革新(デジタル化)など、企業を取り巻く環境はめまぐるしく変化しています。また、新型コロナウィルスのような未知の脅威についても備えていかなければならず、これまでも難しかった企業経営は、今後もますます難しくなっていくでしょう。

 そのような中、企業が生き残っていくためには、経営基盤を強化することがよりいっそう重要なものになってきています。経営基盤とはその名の通り、経営の土台となるものです。建物を建てる際に基礎(土台)が重要になるのと同様に、経営の土台が強ければ強いほど外的環境の変化にも順応することができるようになります。

 では、経営基盤の強化はどうすれば達成できるのか??

 昨年末に同業他社(A社)の社長がついに無借金経営に突入したとのことで大変喜んでおり、これで経営基盤は盤石だとおっしゃっていました。もちろん無借金経営は簡単には実現できないことであり素晴らしい結果(実績)です。「順調にいけば」キャッシュフローはさらに安定したでしょう。

 しかし、残念ながら新型コロナウィルス拡散防止のため、緊急事態宣言が発令されてから状況は一変しました。

 IT業界はそこまでコロナ禍の影響を受けていないイメージをお持ちの方もいらっしゃると思いますが、実態はエンドユーザの意向で多くの開発案件がストップしているのです。 特に中小規模のSIerと呼ばれる会社の売上は激減し一部事業の縮小を余儀なくされている会社も多く存在します。A社においても決算の数字上はこの継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)を満たしているように見えましたが、残念ながら経営基盤は盤石ではなかったようです。

 一方で飲食(cafe)をやっている社長(弊社の元社員)の話しです。飲食と言えば各種メディアでも取り上げられていますが、休業要請然り、現状でコロナ禍以前の売り上げを確保することは困難な状況です。そのような中で心苦しい気持ちで連絡をしたのですが、連絡直後に「順調ですよ」との予想外の返信がありました。

 安堵の気持ちとともに、詳しく状況を聞くと、このコロナ禍でWEBショップ売上約100倍、デリバリー(UberEATS)約6.5倍、テイクアウト約3倍を達成したとのことです。

 なぜこれを達成できたのか。理由は大きく以下の3点でした:

①cafeだけでなく、ネット販売が可能な洋菓子にも力を入れていた。
②今年度はメディア戦略、Web販売強化を目標に掲げており準備が進んでいた。
③緊急事態宣言の際に休業を余儀なくされたが、全スタッフ総動員で上記戦略推進に注力した。

 これを読み解くと、①、②については世の中の流れを把握し、リスク予測だけでなく次の販売戦略を「事前」に進めていたからこそ、迅速な行動と最良の結果を残すこと(外的環境の変化への順応)ができたのです。また、この社長は緊急事態宣言直後に、スタッフの雇用を守ることを大前提におきました。それにより組織全体の士気はさらに上がり、全スタッフが一丸となって新たな取り組みを進めたからこそ、組織が100%以上の力を発揮し、この逆風の中で大きな飛躍を遂げたのです。

 経営基盤の強さは簡単に計ることはできません。ただ、繰り返しになりますが、現状に甘えず、変化を恐れず、さらなる成長に向けた準備を怠らない会社は経営基盤が盤石と言えるでしょう。まさに「言うは易く行うは難し」ですが、そのために必要なことを常に想定し、準備をするのが経営者のミッションであると改めて考えさせられた出来事でした。

 さて、あなたの経営基盤は盤石ですか?
 会社を守るために何が必要か立ち返って考えてみませんか?

株式会社ライターム
コンサルティング事業部