先日お会いした食品加工会社の経営者の方が、こんなことをおっしゃっていました。「世の中の流れが速すぎて、なかなかついていくのが大変です。今のやり方を変化させないといけないことは理解していても、何からはじめれば良いのか決断することが出来ないのです」。

 経営において、ある一定のリスクを考慮されている方は多いと思います。しかしながら、コロナによる経営状況の悪化、戦争による資源調達難や原価の大幅な高騰、大地震の発生等、想定以上の事象が発生することで、会社経営のための判断材料にも変化が生じ、決断の遅れを懸念されている経営者の方も多いのではないでしょうか。それでも、会社を良くしなければ、DXを進めなければと悶々とされて我々に相談に来られる方も多くいらっしゃいます。

 これまでの経験をもとに、会社運営を続けようとしても、現在の情勢と照らした判断が出来るのか。確実に、正しいと言える答えはありません。会社に影響を与える不確実な要素は、個人の力で変えることは出来ないからです。

 それでも、会社を変えるために、デジタル化を急ぎ失敗したと嘆く経営者の方は後を絶ちません。なぜ、デジタル化することを急ぎ、失敗してしまうのか。多くの経営者の話をお聞きし、失敗の原因が、会社を変革することへの焦りにあるのではないかと、私は考えています。

 DXに向かうことは、効率向上、品質向上のためにも、将来を見据えやるべきこととして当然の事と語られています。しかしながら、これまでITとは無縁の経営をされていた方からすれば、本当に価値を生み出せるのか疑心暗鬼の状態で、取り組まざるを得ないのが現状です。

 だからと言って、デジタル化への変革をやめればいいと申し上げているのではありません。未来社会がやってくる前に、取り組み始めるべきであることに間違いはありません。では、企業経営者は、どうするべきなのか。

 納得した決断をするための準備をすることです。

 決断するためには、選択する基準が必要です。これまでの成功体験を基準とはできません。今までの常識を疑う勇気を持たなければ、新しい成功体験は手に出来ないのです。
 新たな基準を自分たちで作り上げることが、取り組む決断をするための準備になるのです。会社が目指す方向に有用に働くのかが、新たな基準を決めるカギとなる以上、他人に決めてもらうことは出来ません。

 今の社会や会社内の本当の状態を見据えて、データ化して分析評価をする。

 決して楽な方法ではありません。成功するための近道がないからこそ、手に入れられる多くの材料をもとに分析し、何を決断するか、経営者であるあなた自身が決めなければなりません。人真似ではなく、自分たちで決めることが、会社の独自性を創り出して競争の優位性を生み出すことが出来るようになるのです。

 今の学校教育でも、ITに関する授業が増え、大学の入試でもプログラミングや、データサイエンスに必要な統計処理、情報リテラシーの知識などを試す「情報」が科目として追加されます。これから一緒に働く社員の価値観も変わってきていることでしょう。
 今ある価値観を作り上げている常識が、これから入社される社員にとって、非常識になりつつある今の状況を踏まえれば、先頭に立って会社を経営される方が、経営判断するための新たな価値基準を作り出すことは必須となっています。

 頭の中を柔らかくし、新しい価値を受け止め決断する準備は、経営者が先頭に立って進めてください。

株式会社ライターム
コンサルティング事業部